本当は誰よりも可愛い君。~君の全てを守りたいから
 家に帰ってからもふたりの会話がずっと気になってた。陽大くんと一緒にダンスの練習する約束をしていたのに、だまって帰っちゃったことも。最近毎日していた家での練習も、今日はやる気にならない……。
 
 明日どうしよう。陽大くんになんて言おうかな? 急に具合が悪くなって帰ったってことにでもしておこうかな? 花田さんとのこと直接聞けないし。

 ずっとずっと気になって、朝になっても考えていた。眠れなくて頭がぼんやりする。

 でもなんとか起き上がって登校した。
 玄関に着くと私の下駄箱の前に陽大くんがいた。

「昨日は部活こなかったけど、どうしたの?」
「う、うん。頭が痛かったの……」

 ごめんね陽大くん、ウソついて。

「そっか、大丈夫? もう治った?」

 本気で心配してくれてる。
 ウソなのに……。

「あ、陽大くんおはよー」

 花田さんが来た。
 私も横にいるのに無視されて、まるで透明人間みたいな扱いをされている。

「おはよ……」

 陽大くんは低めな声で答えてた。

「陽大くん、昨日の返事が聞きたいんだけど、こっちに来てくれる?」

 花田さんが陽大くんの腕を引っぱり廊下へ行き、そのままどこかに消えた。

 行かないで!って叫びたかった。
 だけど、ただふたりの背中を見ているだけ……。
 
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