本当は誰よりも可愛い君。~君の全てを守りたいから
 放課後、気が乗らなかったけれど被服室へ。

 みんなが私のために衣装を作ってくれている。
 形はある程度完成してきたから今は白いパールビーズやリボンとか付けて、全体を可愛くする作業をしていた。作業を抜けて、入口にいた私のところに陽大くんが来てくれた。

「体調良くなった?」

 陽大くんが私の顔を覗き込んで、再び心配の言葉をかけてくれる。

「うん、大丈夫だよ」

 全く目を合わせられない。

 元々誰かと目を合わせるのも得意じゃなかった。けれど今までは陽大くんとは、いっぱい目を合わせて話せていた。

 だけど、花田さんと陽大くんのふたりだけの世界を想像するだけで心が苦しくて。

「どうしたの? 調子がまだ悪いならムリしないで家で身体休めて?」

 違うんだよ陽大くん。

「実はね、陽大くんに聞きたいことがあって……」
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