本当は誰よりも可愛い君。~君の全てを守りたいから
「僕に?」
「……うん。陽大くん、花田さんとペアになるのかな?って聞きたくて」
「なんで花田さんと?」
「だって、こないだここで、ふたりきりで話をしてたから……」
「あぁ、あれね。聞いてたんだ……もちろん断ったよ」
「断ったんだ……」

 断ったって言葉が聞けてほっとした。
 もしも断ってなくて、花田さんと一緒にやるんだって言われたらどうしようかなって考えていた。

「そっか、花田さんの誘い断ったんだ……本当に私とでいいの?」

「いいに決まってる。だって、僕は優乃ちゃんと一緒に優勝したいんだから」

 花田さんとじゃなくて、私と一緒に優勝したいって言ってくれた――。

「私も……私も陽大くんと優勝したいよ!」
「うん。頑張ろう!」

 しばらく陽大くんと見つめあった。

 そういえば魔法使いって設定だから魔法のお芝居考えてきたんだけど、最初優乃ちゃんが登場するところね――」

 一瞬落ち込んでいたけど、気持ちが復活した。

 陽大くんと優勝したい!
 花田さんに負けたくない!

 花田さんに負けるのが当たり前だと思ってた。
 こんな気持ちになれたのも、初めてだった。


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