本当は誰よりも可愛い君。~君の全てを守りたいから
 メイクの勉強と髪の毛を結ぶ勉強も私のためにしてくれていて、私のヘアメイクをやってくれた。

「陽大くん、なんでも出来て器用だね」
「器用かな? こういうの、好きなんだよね」

 メイクをしてもらっている間も陽大くんの顔が近くてドキドキした。

 そして目の前にある鏡を見ていると、だんだんと変身していくのが分かる。陽大くんの魔法で可愛くしてもらっている気分だった。もうお芝居が始まっているみたい。

「昨日の夜、緊張してなかなか眠れなかったの。今日は上手くいくかなぁ」
「大丈夫だよ! 上手くいく」

 陽大くんが私の顔全体を確認した。

「メイク出来たよ! うん、可愛い。みんなビックリする可愛さ!」

 鏡を覗くと、鏡に映る陽大くんと目が合って微笑みあった。

 不安。不安だけど大丈夫!
 手芸部のみんな、そして陽大くんが隣にいてくれるから――。

 それから髪の毛を高い位置のお団子にしてくれた。すごく新鮮だった。

 いつもは適当に長い髪の毛をひとつに束ねているだけだから。

「陽大くん、ありがとう」
「どういたしまして」

 そして衣装のミニドレスに着替えた。

 気持ちが高ぶっているからか、完成後すぐに試着した時よりも、重みとスカート部分のボリュームを感じた。

「本当にお姫様と魔法使いの白執事みたい!」

 準備が終わるとふたりで体育館へ向かった。
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