本当は誰よりも可愛い君。~君の全てを守りたいから
「それでは、第2位の発表です! 第2位は……」

 呼ばれませんように……。
 呼ばれませんように!

 一瞬の間も長く感じる。



「花田 香織さんと、桐生 翔さんです!」

 全体がざわめいた。

 ざわめくのは当然だと思う。だって、この学園にいる全員が花田さんたちのペアが優勝すると思っていて。きっと私たちはビリだって思われていたんだから。

 でも今はそのざわめきが気にならない。
 ちょっとだけ強くなれたのかな?

「そして第1位は、七瀬 陽大さんと、白雪 優乃さんです!」

「1位はいません」なんて言われる可能性もちょっとだけ頭に浮かんできたけれど。

 きちんと私たちの名前が呼ばれた。
 本当に優勝出来るなんて……。

 陽大くんと見つめ合った。

「ベスト3の方たちは前に出てください」

 私たちは観客の生徒たちの方を向いて、一列に並んだ。

 私の隣には陽大くんがいて、陽大くんの横には花田さんがいる。

「なんで白雪なんかに負けるの? ムカつく……」

 私たちにしか聞こえないくらいの小さな声で花田さんは呟いた。ちらっと横目で見ると笑顔がひとつもなく、イラッとした様子だった。

 3位から表彰されていく。

 表彰される時、3位の先輩ふたりは笑顔で、2位の花田さんは不機嫌な表情だった。そして桐生くんは花田さんをチラチラ見て、様子を伺っている雰囲気だった。

 そして私たちが表彰される時が来た。

< 39 / 49 >

この作品をシェア

pagetop