Snow Kiss 【LOVE♡ドロップス企画参加作品】
リボンを解き、包み紙を開ける。
白い箱……
『義理』の文字と手作りではない商品のチョコレート。
「……ピンク…選ぶと思ったー。
奈々の大好きな色だもんね。」
涙を浮かべながら必死で優しい顔をして笑う。
「言っとくけど、あたしが振られたんじゃないからね。
秀くんがあたしに振られたの。
わかった?」
「……ごめん。
俺、最低だな……。」
「お互い様でしょ?
それでもいいってあたしが言ったんだもん。
あたしはよかったって思ってるよ?
気持ちがない人と一緒にいる程ツライ事はないって思い知った。
両想いで付き合えたらどんなに幸せなんだろう?って……。
だから、謝らないで?
さよならをするのはあたしなんだから。」
最後まで攻める事をしない。
華恋のすがすがしい程のいさぎよさに自分が少し哀れに思えた。
「華恋、ありがとう。
俺も華恋の隣にいれてよかった。
華恋を知る程、俺に華恋はもったいないって思ったよ。
華恋なら次はきっとうまくいく。
……ありがとう。」
「うん。」
最後まで涙をこぼす事なく華恋は笑顔で俺を見送ってくれた。