Snow Kiss 【LOVE♡ドロップス企画参加作品】
インターフォンを鳴らしても返事は返ってこない。
ドアノブに手をかけ、玄関が開いてるのを確認して、奈々の部屋へと向かう。
「奈々?」
「……秀、どうしたの?」
涙に濡れた目をして奈々が笑う。
華恋の時みたいに優しい声も対応もできない。
奈々を目の前に余裕なんて少しもなかった。
「……これ、渡す相手間違えてるよ。」
「間違えてないよ。
……ごめんね。
秀の手に華恋ちゃんのチョコ見えてたけど、どうしても渡したかった。
私の気持ち、ちゃんと秀に知ってほしかった。」
「……気まぐれな言葉なんていらない。」
「どうして?
なんでそんな事言うの?
どうしたら私の告白は聞いてくれるの?
気まぐれじゃない!
間違えてない!
勘違いなんかじゃないよ……。
私は秀が好きだよ……。」
「奈々が好きなのは亮だろ?
ずっと亮しか見てなかったくせに……。」
「秀といる時間が多過ぎて当たり前で気づかなかった。
……今さらって思うよね?
秀の事考えると胸が掴まれたみたいに痛くなるの。
秀と華恋ちゃんの噂聞くと苦しくなる。
亮くんにはこんな気持ちにならないもん。」
「……だったら、もう我慢はしないよ?」