頬を染めるのは、イルミネーションのせいだけではないのです
結局当日の話はできないまま、図書室を出た。
職員室に図書室の鍵を返却して、一緒に昇降口を出る。
いつもなら、ちょっとだけ部活に顔を出してくる、と言って、冬月くんとは昇降口で別れるのだけれど、今日は部活に顔を出さないのか、正門を出た今も私の隣にいる。
あれ?もしかして今日は一緒に帰る流れ?このまま一緒に駅まで歩くのかな?
どちらとも何も言わず、一緒に歩いてしまっているこの状況が少しずつ気まずくなってきた。こんなに長く一緒にいることも初めてで、緊張は増すばかりだ。しかし、せっかく一緒に帰ってくれているのだ。冬月くんに退屈な思いをさせてはいけない。
何か面白い話、何か面白い話…。
「「あの、」」
二人の声が重なる。
私が口を開くのと同時に、冬月くんも同じように私に呼びかけた。
「あ、冬月くんどうぞ」
「いや、白雪さんから」
「私は大した話ではないので!」
「本当に?」
「はい!今日の化学の先生の柄シャツについての考察なので!」
「それはそれで気になるけど…じゃあ俺から話す」
冬月くんは、んんっ、と何故か喉の調子を整え、話し出す。
「このあと、時間あったりする?」
「え?」
「えっと、どっかファミレスでも行って、クリスマスの日の会議でもしようかと」
「!」
クリスマス会議!冬月くんとファミレス!!
「望むところです!!」
勢い余って大分変な返答になってしまったけれど、冬月くんは笑ってくれた。
「よかった、じゃあ駅前のファミレスにでも」
「はい!」
まさか好きな人とファミレスに行ける日が来るなんて…!神様、お天道様に感謝いたします!