義理の妹に計画的にハメられたけれど、大好きな幼馴染だけは渡しません！

そしてそのまま健太に抱きつく。
健太は驚いたように目を丸くし、それから花子の頭をなでた。

本当の妹に向けるみたいに、優しい表情をしている。

なんでもない光景なのに、なぜか絵美の心の中がざわついた。
嫌な感じがするけれど、健太は笑顔なのでなにも言えない。

「こんにちは。引っ越してきた時に挨拶に来てくれたよね」
「うん！　健太お兄ちゃんに会いたかった！」

「本当に？」
「本当だよぉ！　だって健太お兄ちゃんすっごく優しいんだもん。ねぇ、家に上がっていくでしょう！？」

健太に抱きついていた体を離したかと思うと、今度は健太の右腕に両手を絡ませて引っ張る。

「ちょっと花子ちゃんダメでしょ。健太お兄ちゃんは勉強があるんだから」

慌てて絵美が引き止めるけれど、花子は健太の腕を離そうとしない。
「少しくらいいいでしょう？　気分転換だってさっき言ってたじゃん！」

会話が聞こえていたらしい。