義理の妹に計画的にハメられたけれど、大好きな幼馴染だけは渡しません!
☆☆☆

「健太お兄ちゃんって優しくて大好き!」
健太が自分の家に戻った頃、花子がリビングで嬉しそうに言った。

「だけどあまりわがまま言っちゃダメだよ? 健太お兄ちゃんにも用事があるんだから」
「わがままなんて言ってないよ。だって、大丈夫だって言ったのは健太お兄ちゃんでしょう?」

「それはそうだけど、花子ちゃんがわがまま言うから気にしてくれただけでしょう?」

つい、絵美の声が大きくなってしまった。
大好きな幼馴染に迷惑をかけたくなかった。
健太に嫌われたくない。

「なんでそんなこと言うの? 絵美お姉ちゃんだって本当は嬉しかったくせに」
「え……?」

驚いて花子を見るとニヤついた笑みを浮かべている。
それは両親の前で見せることのない笑顔だった。

「健太お兄ちゃんってカッコイイし、来年には高校生になるんでしょう? きっとモテるんだろうなぁ」

呟くように言ってクスクスと笑う。
その言い方に妙に胸の奥がモヤモヤしてきた。
< 28 / 64 >

この作品をシェア

pagetop