義理の妹に計画的にハメられたけれど、大好きな幼馴染だけは渡しません！

花子の態度で今までの焦りが一気に吹き出してしまった。
焦る気持ちに任せて花子の両肩を強く掴んで声を荒げる。

その途端花子が目を見開いた。
普段ならこの程度で泣くことのない花子の目に、みるみる内に涙が浮かんでくる。

「え、ちょっと……」
突然のことに慌てだす絵美の前で花子は声を上げて泣き始めたのだ。

絵美は信じられない気持ちで花子を見つめた。
こんなの絶対に嘘泣きだ。

だけどボロボロと流れてくる涙を見たらなんとも言えなくなってしまう。
これが本物の涙だったら？

そう考えると絵美の胸がギュッと傷んだ。

「絵美、ちょっときつく言い過ぎなんじゃないか？」
健太がすぐに絵美を非難する。
「だ、だって」

心配かけたのは花子だし、全然反省した様子がないから叱っただけだ。
それなのに健太は険しい表情を絵美へ向けてくる。

こんなのおかしいと思うけれど、これ以上事態を悪化させるわけにもいなかくて言葉を飲み込んだ。

「花子ちゃんは学校帰りにうちに来たんだ。な？」
健太に聞かれて花子はコックリと頷いた。

「健太お兄ちゃんのところに？　どうして？」