義理の妹に計画的にハメられたけれど、大好きな幼馴染だけは渡しません!
☆☆☆

「これを返しておくよ」
もう寝ようとしていた時にお父さんにそう言われて手渡されたのは金庫に保管していた万年筆だった。

「え、でもこれは……」
花子のわがままを知っているからこそ、お父さんが心配して金庫に入れてくれていたものだったはずだ。

「花子はもう十分お姉さんになったようだし、会社で使う書類を金庫で保管することになったんだ。悪いけれど、自分で持っていてくれるかい?」

優しい声でそう言われると反論が難しくなる。
もしここで花子はまだまだわがままだし、なにを言い出すかわからないなんて言えば、絵美が花子にイジワルをしているように見えるだろう。

なにより、せっかく家に来てくれたお父さんを困らせたくなかった。

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