義理の妹に計画的にハメられたけれど、大好きな幼馴染だけは渡しません!
だとしたらなくなった理由はひとつしかなかった。
絵美は目を吊り上げ、大股で花子の部屋へと向かった。

お母さんが後ろから呼び止めてきたけれど、返事もしなかった。
どうせ、なにを言っても信じてくれない。

それくらい、花子は両親の前では完璧にいい子を演じていた。
でも絵美には通用しない。

花子の本性はすでに知っている。
「花子ちゃん、入るよ」

ノックもせずにドアを開けると、花子がギクリとしたように動きを止めた。
そして両手を体の後ろにまわして何かを隠すような仕草をしたのだ。

絶対に万年筆を持っているんだ!
絵美は大股で花子に近づくと「なにを持ってるの」と聞いた。

花子は視線を泳がせて「別に、なにも」と答える。
「それなら見せてみなさい」
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