義理の妹に計画的にハメられたけれど、大好きな幼馴染だけは渡しません!
☆☆☆

すでに夕方になっている外へ飛び出しても行き場所はなかった。
今から友達の家に行くわけにもいかない。

絵美はひとりで広場へ来ていた。
小学校の頃健太と一緒に内緒で子猫を育てた広場だ。

茂みの前に設置された木製のベンチに座って、そっと手を開く。
そこには壊れた万年筆があって、ジワリと視界が滲んでいった。

「こんなの……ひどいよ」
花子だってこれが大切なものだとわかっていた。

それなのに、こんな風にされてしまったんだ。
「お父さんの形見なのに」

胸が痛くて痛くて仕方がない。
万年筆を握りしめていると涙が次から次へと溢れ出してきて止まらない。
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