思わせ振りな君と私
依舞side


ぎゅっと握られた手を見たとき

僕の体温は風邪の奈望よりも暖かくなったと思う


勢いで告白したけど、よかった。


僕はこう見えて意気地無しだから


さっきだって不安でいっぱいだった。


だけど今はうれしいって、奈望に近づけたって気持ちでいっぱい。


「ありがとう。奈望!」


ありがとう。

この言葉にここまで気持ちが入ったのはいつぶりだろうか。


はじめてかもしれない。



「恥ずかしかったけど、うれしい」

って少し頬を赤くして言う姿をみて

僕もうれしいなんて心の中で言う



「てか彼女になるとか初めて」

「え、そうなの?」

僕が初めてってのがうれしくて堪らない


「うん。すごい今青春って感じ」

「僕も!」

「テンションたかくないー?」

当たり前じゃん。付き合えたんだよ?
好きな人と

「そりゃまあそーゆーお年頃だからさ」

「そっかー、」


「奈望眠い?」
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