幼馴染二人の遠回りの恋
唖然
「お、れ、の・・・子、か」
五年振りに会った“元カレ”は
王子様と呼ばれていた頃より幾分爽やかさは減ってはいるものの
あの頃定番だったサラサラの髪は健在
それをかきあげることすら忘れて
ポカンと口を開けたままアホ面を晒した
「違うけど」
「・・・や、待て、だって、その子
どう見ても五歳くらいだろっ??」
「ママぁ、コレだぁれ?」
「んーっと、知らないオジサン」
「ふーん」
知らないオジサンという言葉に興味が消えたのか
繋いだ手をプラプラさせて退屈そうに私を見上げる楓《かえで》
「じゃ、サヨナラ」
「ちょ、待てよっ」
「しらないオジちゃん、バイバーイ」
待てと言う割に元カレは驚愕に動けないようで
待ってあげるほど優しくない私は
簡単に放置してデパートに飛び込むとそのままの勢いでエレベーターに乗った
< 1 / 58 >