幼馴染二人の遠回りの恋



「・・・っ」


オデコに一回

そして、頬に一回


風馬に口付けられた顔は
見なくても分かるくらい熱い


・・・私の心臓大丈夫?


もうよく分からないことになっている状況に雲の上を歩いているような気分


そんな私の手をサッと引いた風馬は


「迷子予防」と指を絡めた


・・・あぁ、もぅ


ヤバい・・・死ぬ・・・


風馬に告白されただけで
こんなにも動揺するなんて


人として好きだった風馬のことを
実は異性としても好きだったのだろうか・・・


「ホットミルク、どうぞ」


「・・・へっ!いつ??」


我に返った時には、リビングルームのいつものソファに腰掛けていた


「え、いつって?」


ギシとソファの音を立てて隣に座った風馬は私の手にマグカップを持たせた


口をつけると、いつもの少し甘いホットミルクで


「・・・んまい」


いつもの反応が出た


会社を出たところから家までの記憶がズッポリと抜けている


それは・・・


風馬が頬にキスをした所為なんだけど
それを口にするには憚られて


「んまい」


ホットミルクを飲むしかなかった


「棗、それ飲んだら少し寝る?」


「寝るっ?」


「フッ、動揺し過ぎ。誰も一緒に寝ようとか言ってないし」


「・・・っ、・・・うん」


もう・・・ダメだ
好きって言われただけなのに

もう十分過ぎるほど動揺しかしていない

顔を見るだけで嫌悪感しか抱かなかった晴雄と違って

風馬にはそばに居て欲しい

恥ずかしいけど、膝の上で抱かれていたのだって全然嫌じゃなかった

寧ろ不変の安心感は風馬にしか感じないと思う


これって、私も風馬を好きってこと?


突然の告白は確実に私の気持ちを動かしていて


明らかなるキャパオーバーに
風馬の提案通り寝ることを選んだ









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