幼馴染二人の遠回りの恋
「それって本当に金村茉莉乃からの呼び出しなの?」
「・・・え」
確かめた訳じゃないけれど
金村茉莉乃だと決めつけていた
「そうだとしても理由があるかもしれないでしょ?」
「・・・理由」
「私は第三に通ってたから直接は知らなかったけど
高校の時に風馬って金村茉莉乃と一時期一緒に居たことがあったでしょ?」
「・・・・・・ぁ」
妹から指摘されて、埋もれていた記憶が蘇った
◇◇◇
幼稚園からずっと一緒だった風馬が唯一
高三の冬に金村茉莉乃と一緒に居た時期がある
“遂に金村茉莉乃の粘り勝ちか”なんて噂も立つには立ったけれど
付き合っている雰囲気ではなかったから、噂自体一瞬で消えたこともあって私も風馬を追求しなかった
それは
『棗は俺を信じていて』
風馬が泣きそうな声で金村茉莉乃との仲を否定したからで
絶対何か理由があるのだと思えた
更には『私はいつでも風馬の味方』って応援もした
考えてみれば金村茉莉乃が聖愛へ進路を変更したのもこの時期だ
「何があったんだろう」
「それも風馬に聞くのが良いと思うよ」
「・・・だよね」
風馬への気持ちを自覚した以上
逃げる訳にはいかない
モヤモヤしていた気持ちがやっと決まった
「椛、ありがとう」
「どういたしまして〜」
「「フフ」」
「じゃあ帰るね」
「次は楓を連れて来てね」
「了解」
見た目ソックリな妹に感謝して
来た時とは真逆の気持ちで病院を出た