幼馴染二人の遠回りの恋



ベビーリーフサラダの上に生ハム
目玉焼きとハーブソーセージ

即席スープは粒コーンがたっぷり入った二人のお気に入り


そして、トーストにはたっぷりのバター


「「いただきます」」


必ずひと口目はトースト。そして甘いホットミルクを飲む


「んまいっ」


「だな」


当たり前だと思ってきただけで、風馬との日々は全てが特別だった


本意じゃないけど金村茉莉乃とのことがなければ
自分のことに鈍感だと言われた私では気づくのが更に遅れたかもしれない


「風馬、ドレッシングいる?」


「いや。生ハムと一緒に食べれば要らないな」


「だね」


此処に住むようになって五年


インテリアは温かみのある天然素材の家具を中心に
手触りの良い物だったり、持ちやすさに拘ったり

細部に至るまで風馬と一緒に見て触れて選んだもの


私の思い浮かべる過去には必ず風馬がいて

きっと家族より同じ時間を過ごしてきた


遠回りしたけど


過去も未来も


風馬と一緒が良い


「棗」


「ん?」


「どうかしたか?」


完全に手が止まっている私を心配そうな顔で見ている風馬


「風馬とのこと考えてたの」


「俺?」


「好みが似てるよね」


「好みか」


ニコリと笑った風馬は向かい側から手を伸ばして私の頭をひと撫でした


「ん?」


「俺は、特に好みはなくてさ」


「?」どういうことだろう


「棗が選んだものがピッタリくるんだよな」


そう言った風馬の顔は凄く嬉しそうに見えて
私が選んだから仕方なく、という訳では無さそうでホッとする


「例えば棗がさ」


「うん」


「ゲテモノ食いになったとしても、俺も食べられる自信ある」


「なにそれ」


眉を顰めてしまうのは虫嫌いの所為


「変なオニョオニョ虫とか」


「ウゲェ、無理無理無理無理」


背筋がゾワリと寒くなって肌まで粟立つ
両腕を抱えるようにして擦る私を


「クッ、ハハハ」


堪らず吹き出すのはいつもの風馬で


これからの気の重くなる時間の為の充電みたいに沢山笑い合った

















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