幼馴染二人の遠回りの恋


促されるままソファに腰掛けると、向かい側に腰を下ろした社長は


「今日はデートか」


半笑いで大きな身体を揺らした

いつまでも勘違いさせる訳にはいかない


「違いますよ。社長の娘さんとは同級生であること以外、何の繋がりもありません」


真っ直ぐ社長を見ながら答えた


「なんだとっ、娘を弄んでるのかっ」


こちらの態度で途端に豹変する社長にも呆れるが、こんな挑発には乗れない


「弄ぶ?その表現は聞き捨てならないですね
そもそも。娘さんが学生の頃から私に絡んできていただけで、それに応えたことは一度もありませんよ
大学が分かれてからは一切関わりも無かったのに
突然うちの会社にやってきて従業員と私に絡むものだから
こちらとしては警備員を呼ぶところだったんですよ」


「なにをっ」


「怪我のことに関しましても先ほど、ハイヒールで走る娘さんを確認しましたので
これ以降私が此処に来ることもありません」


「貴様!うちが貴様の三流会社の派遣を使ってやってるから
商売が成り立っているんだろうが!」


顔を真っ赤にして怒鳴る姿は滑稽で、哀れにも思えてきた


「派遣契約の件ですが。明らかな契約違反行為が多数上がっていまして
契約書通り、うちの派遣社員は全て引き上げさせていただきます」


「は?なんだとっ」


「契約外の仕事の強要にパワハラとモラハラ
今後、Gラインさんの依頼は全てお断りします」


「黙って聞いてりゃ、若造が生意気な口を!」


興奮状態にある社長とはこれ以上話し合いは出来そうにないと判断して立ち上がった




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