花束になりたい

もし、それが叶うなら。

今よりもう少し、私は私を認められるかな。






職員室でもらった申し込み書を出すために、放課後、生徒会室に寄った。

ドアをノックすると中から顔を出したのは、大友くんだった。



私は震える手で、申し込み書を大友くんに渡す。



「よろしくお願いします」



私からペラペラの紙を受け取った大友くんは、
「こんなに勇気の詰まった申し込み書は、初めて受け取った」
と、笑う。



そして言った。

ニッコリ笑って。



「頑張れ」
って。




その一言が、心にずっしりと重く響く。




生徒会室から昇降口へ続く廊下を歩いていると、過去にもその言葉を大友くんからもらったことを思い出した。



去年の体育祭の時。

じゃんけんで負けてエントリーした1000メートル走をビリで走っていた私。

大きな体をのそのそと走らせる姿に、グラウンド中が失笑していた。

恥ずかしくて、消えたいと思っていたその時。

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