花束になりたい
一拍くらい間があって、
「あ、ごめんね」
と、謝られた。
(『ごめんね』?)
彼女の言葉を頭の中で繰り返す。
ごめんね?
私がモデルにエントリーしているなんて、思いもしなかったんだろうな。
モデルとは思えなくて、ごめんね。
そう言われたような気がして、顔がかぁっと熱くなる。
周りを見渡せば、説明を聞いているモデルにエントリーした生徒は。
男子も女子も細くて、スタイルの良さが目立つ。
(キレイな人ばっかり)
まるでそれぞれが花束になるのを待っている、華やかな花の集まりみたい。
凛としていて。
美しい人達。
(こんな体型でエントリーしたのは、私だけ?)
恥ずかしさで体も心も支配されたみたいに、固まってしまった。
説明が終わり、ひとりでぼんやりと、昇降口まで歩いていたら。
「元気ないじゃん」
と、大友くんが現れた。
その手は段ボールを抱えている。