花束になりたい
イベントが始まると、体育館には全校生徒が集まった。
先生達も見守る中、生徒会長が挨拶をしている。
しばらくして、わーっ!と声が聞こえて。
音楽が流れる。
生徒会が用意した、流行りの洋楽か何かだと思う。
一番にエントリーしていた子が、ランウェイを歩いた。
舞台袖から、みんなで見守る。
会場の声はみんな温かく、「かわいいー」とか、「すてきー」などの言葉が飛び交っている。
一番の子が帰って来て、二番の子が舞台へ出て行く。
私は三番なので、もう次に順番が来ると思うと、心臓が破裂しそうなくらいに騒ぎ出した。
(どうしよう)
この期に及んで逃げ出したくなる。
目を閉じて、呼吸を整えていると。
背中に軽い衝撃があった。
「見返してやれ!頑張れ、貝塚!!」
振り返らなくてもわかる。
大友くんだ。
魔法の言葉に、私は黙って頷いた。