花束になりたい
校内イベントが終わり、優勝者はアンケートの集計を待って後日発表だと、生徒会長が説明していた。
だけど、私は知っているような気持ちになった。
優勝者は、きっと一番にランウェイを歩いた子だろうなって。
ただの勘でも、当たっている気がする。
教室に鞄を取りに戻ると、クラスのみんなが迎えてくれた。
「貝塚、良かったよ!!」
「超可愛かった!!」
「すっごいキレイだった!!」
みんなの温かい言葉に驚き、目を丸くしていると、あの日、私をからかったお調子者の男子が私の前に来て、
「ごめんな、貝塚」
と、謝った。
「え?」
「オレ、失礼なこと言ったから。何もわかってなかった」
私は首を振る。
嫌だったし、怖かったし、不快だったけれど。
もういいんだ、と思えた。
そこへ大友くんが教室に入って来た。
「お疲れ!大友!!」
と、みんなは大友くんのほうへ寄って行く。
私はまた、ひとり。
そっと教室を出た。
昇降口まで来ると、バタバタバタッと足音が近づいて来た。
何事?と私は振り返る。