花束になりたい
翌日の昼休み。
恐れていたことが起こった。
クラスでお調子者の男子が、私を指差してこう言った。
「制服の着こなしコンテスト?貝塚が優勝でいいじゃーん」
なんとも言えない気持ち悪い汗が、溢れる。
どっと笑うクラスのみんな。
「ちょっとー、そんなこと言ったら貝塚さんが可哀想だって!」
と言いながらも、可笑しそうに笑う女子達。
明らかに見下されて。
馬鹿にされて。
心が真っ暗になる。
「貝塚の着こなし術とは、つまり!?」
と、お調子者の男子は私に近寄り、インタビューするみたいに拳をマイクに見立てて私の顔に近づける。
何も言わない私の代わりに、
「背中を丸めることがトレンドです!猫背は正義なんですっ!」
と、男子はひとり芝居のように、裏声で勝手に答えている。
ゲラゲラ笑う教室内。
絶望だ。
そう思った。
誰も、助けてくれない。
誰も、気遣ってくれない。