花束になりたい
学校に近づくにつれ、背筋を曲げて、トボトボと歩く自分になっていく。
俯いて、下駄箱にたどり着いた頃。
「貝塚」
と、呼ばれた。
振り返ると、大友くんがいた。
……えっ?
なんで?
大友くんは私のそばまで来ると、
「貝塚に話があるんだ」
と言って、
「ここじゃ目立つから」
と、上靴に履き替え、手招きする。
連れて来られたのは、生徒会室だった。
私と大友くん以外には、誰もいない。
何が起きているんだろう?
私なんかが、片想いの相手とふたりきり?
大友くん、私に何の用があるの?
(まさか、まさか……、告白?)
一瞬甘い考えがよぎったけれど、
(いやいや、ないな。絶対にない)
と、冷静な自分が即座に否定する。
「学校に来てくれて、ありがとう。貝塚」
大友くんは、私をまっすぐに見た。
「えっ?」
「昨日の昼休みに、貝塚がクラスの奴らにからかわれたこと、放課後に知った」
「……」