花束になりたい

ショックだった。

大友くんに知られたくなかった。

私は、「可哀想な人」だと思われている?



ショックの中で黙っている私に、大友くんは言う。


「貝塚は、すごいよ」

「……?」

「オレさ、みんなは貝塚を誤解していると思うんだ」



思わず「誤解って?」と、尋ねてしまった。



「みんなのことを見返してやりなよ」
と、私の質問には答えず、大友くんは言う。



「貝塚、本当にモデルになって、優勝しなよ」

「え?」

「校内イベントの制服の着こなしコンテスト、出てみろよ」

「……えっ?」



大友くんはニッコリ笑った。

その笑顔はとてもキレイで、キラキラ輝いていた。

花束みたいな笑顔だ、と思った。





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