花束になりたい

太っている、とは言えなくて。

大きい体型、なんて濁したのに。

そんなにハッキリ言わせたいの?



「も、モデルは、みんな細くてキレイな人ばっかりじゃないですか……!」



私の声に涙が混じる。

そのことがより一層惨めな気持ちを加速させて、悔しかった。



「……みんなを見返せってさっき言ったけど、貝塚が一番見返さなくちゃいけない相手は、貝塚自身だな」



大友くんの真剣な眼差しが、まるで鋭利な刃物みたいに思える。

私の心に静かに、でも深く、突き刺さる。



「まぁ、考えておいて。エントリーの仕方はポスターにも書いてあるし」
と言って、大友くんはさっさと生徒会室を出て行った。



ひとり残された私は、鼻をすすり、みじめな気持ちで自分の足を見下ろしている。



(こんな太い足で、ランウェイを歩けないよ)



ふざけるのもいい加減にしてほしい。

みんなを見返す?

私自身を見返す?

そんなこと、出来るはずがない。

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