知人の紹介で
***

「まさかあんな暴言吐いちゃった相手と結婚するなんて思わなかった。今でも信じられないから」
「まあ、お前のところは相手がまずすごいからな」

 圭吾のその言葉に千景はそれはもう言ってくれるなと首を横へと振った。

「それを考えると怖いからもう考えないようにしてる。本人は割と普通だしね」

 千景が肩をすくめながらそう言えば、圭吾と純花は笑ってそれを聞いている。だが、優作(ゆうさく)だけは一人でずっと浮かない顔をしていた。

「優作。さっきから黙ってどうしたんだよ」

 圭吾が話しかければ、優作は眉根を寄せてため息をついた。

「お前が馴れ初めの話なんか始めるからだろ?」
「ああ、お前が一番何とも言えない出会い方してるもんな」
「俺自身は悪いことしてるわけではないけど、やっぱり最終的に手を出したから、罪悪感が消えないんだよ……」

 そう言って肩を落とす優作の背中を圭吾は軽く叩いて励ました。
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