知人の紹介で
 そして、翌日以降もその子のことが頭を離れず、それでも仕事があるしと無理やり考えないようにして過ごしていたが、週末になれば、やはりどうしても気になってしまって、優作はあのときと同じ時間帯に再びその場所を訪れた。

 できればどうかそこにいないでくれと祈りながら、同じ道を歩いていく。だが、優作の祈りもむなしく、あのとき優作に声をかけた女の子はあのときと同じ場所に一人で立っていた。

 その姿を目にした瞬間、優作はその子に駆け寄り、声をかけた。

「君。この間やめたほうがいいって言ったよね? 本当に危ないからこんなことはやめなさい。お金がいるなら普通に働きなさい。ね?」

 優作が厳しめの口調でそう言えば、その子は困り顔をして、とてもとても小さな声で呟いた。

「……間に合わない。それだと間に合わないから……」
「間に合わないって何が?」
「……返済が」

 その単語に優作はぎょっとした。こんな若い子が借金をしているというのだろうか。

「返済って借金があるってこと?」

 その子は小さく首を縦に振って答えている。

「親はそれ知ってるの?」

 今度は小さく横に振った。親にも言わずに借金をしているだなんて、いったいどんな非行少女だ。見た目からはまったく想像もつかないこの話にもうめまいがしそうだ。
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