知人の紹介で
 そんな初夜から半年後。

「志信くん」
「ただいま、衣月さん」
「志信くん」

 志信にきゅっと抱きつく。

「衣月さん、どうしたの?」
「とんでもない確率を引き当てたかもしれない」
「え? どんな確率?」
「うーん、ちゃんと調べたわけではないから、実際の値はわからないんだけど、たぶんすごい確率の事象を引き当てたと思う」
「何を引き当てたの?」
「私、妊娠してるんだって」
「……え!? でも、まだ一回だけしか」
「うん。その一回で引き当てたみたい」
「……確かにそれはすごい確率かもしれない」
「うん。でも、それがすごいっていうことよりも、私、今、泣きそうなくらいに嬉しいの。志信くんとの子供がいるんだって。ここに。志信くんが帰ってくるまでずっと我慢してたの。喜びを分かち合いたくて。でも、もう止まらない」
「衣月さんっ。ごめん、僕にも移ったみたい。確かに涙が出るくらい嬉しいね。ありがとう、衣月さん。ありがとう」


 ボロボロと涙をこぼしながら、二人はその喜びを分かち合った。

 喜びというものには際限がないのだと衣月はその身をもって味わった。そして、衣月はその人生を通して、それを幾度も味わい続けていく。大好きなこの人と共に。



~完~
< 179 / 179 >

ひとこと感想を投票しよう!

あなたはこの作品を・・・

と評価しました。
すべての感想数:1

この作品の感想を3つまで選択できます。

この作家の他の作品

妹に許婚を奪われたら、冷徹CEOに激愛を注がれました~入れ替え婚!?~
  • 書籍化作品
表紙を見る
愛なき政略結婚は愛のはじまりでした

総文字数/103,707

恋愛(純愛)177ページ

表紙を見る
表紙を見る

この作品を見ている人にオススメ

読み込み中…

この作品をシェア

pagetop