知人の紹介で
「これでもう後戻りはできないよ?」
「真由美さんもね」
「私はいつも前にしか進まないからいいの」

 真由美らしい台詞に笑いが漏れた。

「ははっ。そうだね」
「そうだよ。私はどんどん前に進んでいくからね!」

 本当にこの人はたくましい。ここまでしっかりとお膳立てされて、圭吾がこれ以上躊躇しているわけにはいかない。最後のその一歩だけはちゃんと自分から踏みだそうと圭吾は決意していた。もう迷わない。止まりもしない。真由美と先に進むことだけを今は考えている。

「真由美さん。今日さ、俺ん家泊って?」
「いいよ。それだけ?」
「それだけじゃない。今日、真由美さんを抱きたい」
「ふふ。よく言えました。いいよ。二人で先に進も?」
「うん。ありがとう、真由美さん」
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