この光が消えても~雪とイルミネーション物語
 今、待ち合わせ場所に向かっている。
 20時に駅前で会おうね。そう約束をした。

 向かう途中、ショーウィンドウのガラスの前に立ち、映っている自分の姿を確認しながら、赤いチェックのマフラーをギュッと結び直して、自分の髪を手ぐしで整える。

 1ミリでも多く可愛くみられたいから。

 約束した時間の10分前についた。まだ彼は来ていなかった。

 朝LINEでした会話をスマホで確認してみる。

「今日クリスマスだね! 会えるの楽しみ」

「バイトで遅くなるかも」

「イルミネーション間に合えばいいよ!」

「間に合うかわからない」

「間に合わなければ別れちゃうからね笑」

 既読マークはついたけれど返事は来なかった。返事が来なくて少し不安になった。

 私は言葉の最後に“ 笑 ”を面白くないのに、むしろそうなってしまったら悲しい事なのにその文章を入れてしまった。もし私がその言葉を受けとる立場だったら?

 そんな軽いノリで言えちゃうの?ってなって、同じように返事をしないかもしれない。

 返事は来なかったけれど、待ち合わせ場所には時間通りに来てくれると思っていた。

 スマホの画面を消した。暗くなった画面に映る自分の顔をみて、メイクが崩れてないか確認をする。

 画面だけじゃ足りなくて、カバンから小さな鏡を取り出した。薄いメイクだけど普段しないから見慣れない自分が映っている。アイラインが崩れていないかチェックした。彼は気づいてくれるかな。微妙な私の顔の変化に。



 彼は約束した時間に来なかった。

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