思春期の青へ
どうかリュックの紐をぎゅっと握りしめていることに気づかれませんように。


「あ、綾乃ちゃんおはよぉ」
「おはよ〜」


帰ってきた挨拶もいつも通りだった。

私に対し、なんの罪悪感も後ろめたさも抱いていない。

やっぱり私の予想は当たっていたようだ。

2人にとっては"2人で"いることが"当たり前"で、私はいてもいなくてもいい存在なんだ。

話しかけてもいい。話しかけなくてもいい。

いっそのこと嫌われた方が楽だったかもしれない。

自分の存在理由が曖昧になっていく。

昼休みになると、私はひっそりと校舎裏へ向かった。

2人と一緒にいるのも、教室では一人でいるのも耐えられなかったから。

2人に呼び止められることはなかった。

私の様子なんて気にもせずに、楽しそうに話していた。

その態度も悲しい。

あぁ私めんどくさい。

人目につかないところまで逃げると1人でうずくまった。

< 20 / 37 >

この作品をシェア

pagetop