思春期の青へ
一人でいるだけで、他の人とは違った目を向けられているのは、分かっていた。

私だってそうだったから。

世界は広い、学校が全てではないと言うが、それは既に学校から開放されたか、独りを味わったことがない人の言葉だと思う。


なんの取り柄もない学生にとって、学校は世界の全てだ。


1人で買い物や映画に行くこととはわけが違う。

みんな誰が誰だか何となく知っている。

知っているからこそ安心して生活ができ、それと同時に生きづらさを感じるのだ。


さっきから時計をちらちら見ているが、昼休みが終わるまであと20分もある。

家でゴロゴロと過ごすとあっという間なのに、今は一分一秒がとてもつもなく長い。

ただ自分の席に座っているだけなのに肩身が狭い思いをする。

心臓が縮み上がりそうだ。

いっそのこと透明人間になってしまいたい。

そうすれば周りの目なんて気にせずに自由に行動できるのに。

前でキィっと椅子が引かれる音がした。

反射的に視線が前にいく。


「なんだ、今回は泣いてなかったのか」


────圭だ。

また来てくれた。

今度こそ泣きそうになった。絶対に教えてあげないけど。


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