思春期の青へ
圭の言葉に背中を押されるように、教室のドアに手をかけた。


(!)


教室に入ると、同じ小学校出身の阿久津美海(あくつ みみ)がいた。


(美海ちゃんがいてよかったー。けど、あんまり話したことないんだよね・・・)


話しかけようか迷っていると、向こうから話しかけてきてくれた。


「綾乃ちゃん!よかった〜。知ってる子が全くいなくってあせってたんだ〜!」
「私も美海ちゃんがいてよかったー!」


再会を喜ぶように私達はグッと距離を詰めて話し始めた。

男子と比べて女子は話すときの距離が近いと思う。

もちろん人や関係性にもよるんだろうけど、私の周りには肩がくっつくかくっつかないかの距離で話す子が多い。

その間に圭はさっさと自分の席に着いて後ろの席の人に話しかけていた。

圭は新しい環境に溶け込むことに長けている。

同じ環境で育ってきたはずなのに、いつの間にこんなに差がついたのだろう。

そんなことを考えながら、美海ちゃんと他愛もない話を重ね、気づけば予鈴のチャイムが鳴っていた。

席の周りには知らない人しかいなくて緊張したが、美海ちゃんがいるから何とかなるだろう。

このときにはわたしの中にあった不安は溶けていた。
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