思春期の青へ
コミュニケーション能力では圭に劣る私だが、勉強面においては負けたことがない。

というかこれぐらいしか勝てることがない。自分で言ってて悲しいけど。


「って次美術室に移動じゃん!」


気づけばほとんどのクラスメイトがいなくなっていた。

残っているのは施錠をする係の人とその友達のみ。

美海ちゃんは先に行ってしまったようだ。


「あーあ、圭"なんか"に突っかかってんじゃなかった!」
「俺も反抗"なんか"すんじゃなかった!」


私達が出るのを待ってくれていた施錠をする係の人に謝りつつ圭と軽口を叩きながら教室を後にした。





その日から時間はあっという間に過ぎていって、気づけば宿泊研修前日。

あれ以来村野さんとも宮下くんともそれなりに話したが、圭と話す時のように自然に会話が進まず苦戦している。

この調子で1泊2日をやり過ごせるだろうか。

私は不安になってまゆかに電話した。


「まゆかーー。班のメンバー圭以外まともに喋ったことないんだけど助けてぇーーー」
『いや私も助けてー』


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