授かり盲愛婚。 〜ハイスペ紳士とラグジュアリ一な一夜を過ごしたら、愛の結晶を宿しました。〜


 そこには懐かしい名前が書いてあった。

 侑埜、さん……なんで……っ


「……もしかして、滝脇さん知ってる人?」

「は、い。東京にいた頃、婚約していた人です……」

「……言いたくなきゃ強制しないけど、もしかしてお腹の子の父親?」


 強制しないって言ったけど、ここまで彼が来ているということはすぐにバレると思う。

 きっと彼は、パン屋を見つけてやってくる……そしたらすぐに町中に広がるのはここに住んでみて理解しているつもりだ。


「そうです。名刺の、唐橋侑埜は……この子の父親です」

「そうなのね。滝脇さんは、彼に会いたくない?」

「……はい。彼にとって私は足枷になる存在だから。私は、あちらの両親に認めてもらえていませんし会ったところで何にも変わらないんです。だから、私はこの子と二人で生きていこうと決めて……っ」



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