授かり盲愛婚。 〜ハイスペ紳士とラグジュアリ一な一夜を過ごしたら、愛の結晶を宿しました。〜
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「……社長、今日も定時退社ですか?」
仕事が終わり帰社しようと支度をしていると秘書の畔が問いかけてきた。
「あぁ、彼女が心配なんだ」
「そうか。そういえば、届は出したのか?」
「まだ出してない。彼女の悪阻が酷かったのもあるが、まだまだ彼女の両親に挨拶に行けていないんだ。挨拶をして、証人の欄にサインを書いて頂いてからと思ってる」
それだけ告げて俺は社長室を後にした。
地下にある従業員用の駐車場に向かい、車で十分ほどかけてタワマンにある地下駐車場へと停めた。
地下からエレベーターで部屋の階まではすぐ着いて部屋まで数分で到着した。カードキーで玄関を開ける……だが、いつも迎えてくれる史菜ちゃんはいない。
それどころか人の気配も感じられなくて空気が冷たかった。
「……史菜ちゃん?」