授かり盲愛婚。 〜ハイスペ紳士とラグジュアリ一な一夜を過ごしたら、愛の結晶を宿しました。〜



「――ご用件はなんでしょうか? ずっと屋敷に篭っている貴女がいらっしゃるなんて特別な用があるんでしょ?」

「侑埜、あのね……先に謝らせて欲しいの。ごめんなさいっ!」


 そう言って母は、私に頭を下げると母の斜め後ろに立っていた梅田も深々と頭を下げた。


「何を……」

「侑埜の彼女に貴方とは釣り合わないのだから別れて欲しいと言ってしまったの……貴方には大企業のご令嬢と結婚させたかったから」

「……は?」

「お金目的で近づいたと思ったから、これを……手切れ金を渡して、衣食住はしばらくは保証するからって言って、今日、梅田に彼女の住む場所に送らせようとして」


 母の言葉は、彼女が一番気にしていたことでそう言った彼女に身分なんて関係ないと言って俺がグイグイと押して結婚を了承してもらったのは俺だ。


「……彼女が近づいたんじゃない。俺が下心込みで近づいたんだよ。というか、探した」

「えっ、さ、探した……?」

「あぁ。彼女は俺の初恋なんだ。学校が同じだったから……告白をしようと思った矢先、彼女の家が没落して行方知れずになったから探していた。やっと突き止めて」

「ゆ、侑埜……情報量が多い……」


 そんなの知らないわ!!

 知らないくせに勝手なことをしたのはそちらだ。






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