授かり盲愛婚。 〜ハイスペ紳士とラグジュアリ一な一夜を過ごしたら、愛の結晶を宿しました。〜



「侑埜さんは、知らないんですね……没落に導いてしまったのは私だってこと」

「え?」

「私だけではないですよ? でも、その要因の一つにはなったと思います。侑埜さんは、滝脇家のことどこまでしってますか?」

「今は亡くなった当時の当主が、経営していた会社が赤字続きなのに生活水準を下げたくないと贅沢三昧……旧華族という肩書きで横暴な態度をとっていたとか……そのくらいかな」


 それは大体皆が知っている情報だった。


「そうですね……確かにその通りです。滝脇家は、新華族で……特別の勲功によって新たに華族に列せられた家です。ご先祖様が、頑張って賜った身分を祖父は自分の手柄のように言いふらし恵まれた環境を享受していた。何もせずに、経営はほとんど副社長である身内の方がしていたらしいんです。その方が亡くなり、父が社長となりました。だけど、父は経営には不向きな人だった。それでも、なんとかしようと必死に頑張っていたと思います。母も力になろうとしていた……だけど、祖父だけは違いました」


 祖父は赤字になろうが、私たちの食事や服が少なくなっていくのを見ても生活水準を変えなかった。


「祖父は、上等の生地で作られた服を服飾商を呼び月に何度も作らせていて食事も高級品で両親も我慢しているお酒だって飲んでいた。それを注意すると、怒鳴り由緒正しい滝脇の血筋だと叫んでいて……だけどお金がなくなっていくのがやっと気づいた時に謝ってきました。やっと気づいてもらえたと嬉しかったのに変わってなかったんです。生活水準を下げたくは無かったのでしょう……私に父と同い年くらいの資産家との縁談を持って来た」


 あの時は本当に驚きしかなかった。祖父への家族の情はなくなり冷えた。彼は家族なんてどうでも良かったんだと思ったから。


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