授かり盲愛婚。 〜ハイスペ紳士とラグジュアリ一な一夜を過ごしたら、愛の結晶を宿しました。〜
「滝脇さん! 会えて良かった〜〜!」
「わざわざ来てくださったんですか?」
「えぇ! もちろんよ! だって、町中の噂になってるもの!」
噂……?
「庵さんとこの史菜ちゃんが、都会の男にプロポーズされたって! そのついでに婚姻届も出したっていうから、帰っちゃうんじゃないかって!」
うわ、田舎のコミュニティの広さ恐るべし……一気に町中に広がるな。
そういえば、私がここに来た時も噂になったことあったわ、懐かしい。
「すごいですね、合ってます……西野さんにもたくさんお世話になって感謝してます」
「こちらこそ! 史菜ちゃんに会えて良かった。欲を言えばお腹の子にも会いたかったけどね」
「ありがとうございます。生まれたら、写真送りますね」
「えぇ! それは嬉しいわ!」
いつものような優しい笑みで喜んでくれた。
絶対書こう……というか私の方が寂しい。出来るなら、移住したいくらいだけど彼の妻になったのだからベリが丘に帰るのは決定事項だ。
その彼は、庵さんや近所の男性陣とお酒を飲み交わしている。彼の持ち前のコミュ力が発揮されていて、営業スマイルはイケメンすぎて皆虜になっていた。
そんな様子に私は少し複雑な気持ちになっだけど、まぁ、大好きな人が大好きな人たちと仲良くしてくれて嬉しかった。
それから二十二時近くになると、皆が立ち上がり帰って行った。