授かり盲愛婚。 〜ハイスペ紳士とラグジュアリ一な一夜を過ごしたら、愛の結晶を宿しました。〜
倉橋家に帰って畔さんに荷物を積んでもらっていれば、彩愛さんが大きな紙袋を持たせてくれた。
「これは?」
「これ、朝から作ってたの。お店で出してるパンよ。食パンとかロールパンとかは冷凍して食べて。クロワッサンとか惣菜パンもあるから道中にでも」
「えっ……いいんですか?」
「えぇ。史菜ちゃんは娘みたいに思っていたし、これくらいしかできないんだけどね。気をつけて帰るんだよ」
彩愛さんの後ろでは庵さんがいて結婚祝だと言い、紙袋を差し出した。
「いいものではないんだが、気持ちだけでもと思って……まぁ、選んだのは愛結だからセンスは大丈夫だと思う」
「ありがとうございます、庵さん。愛結さん」
「いや……帰っても元気でな」
「はい。庵さんもお元気で……」
愛結さんは「入浴剤なんだけど良かったら使ってね」と可愛らしい雑貨ブランドの袋をくれた。
なんだか最後の最後まで貰ってばかりだ。帰ったら何か送ろうと思いながらお礼を言って車に乗り込み、彼らと別れた。
そうして、私は一人で来た三ヶ月お世話になった街を侑埜さんと共に後にした。