授かり盲愛婚。 〜ハイスペ紳士とラグジュアリ一な一夜を過ごしたら、愛の結晶を宿しました。〜

 【柳緑花紅】は、京都の伝統的な野菜や朝市で揚げられた魚介などがふんだんに使われている多彩な料理と味わいに出会うことのできる老舗の専門店だ。


「……唐橋様。お待ちしておりました。では、ご案内いたします」


 桜色の着物を着た仲居さんに案内されたのは如何にもVIPルームと呼ばれるだろう個室だった。

 格子戸で仕切られた天井もある完全個室でほとんどは接待などの会食で使われているらしい。

 席に座ると、すぐに仲居さんがお冷とおしぼりを持ってきて飲み物の注文を問われる。


「史菜ちゃん、なんでも飲んでいいよ。お酒飲めるなら一緒に飲もう」

「いいんですか? 唐橋さん、お車ですよね」

「車は大丈夫。秘書が来てくれるから」

「秘書さん?」

「秘書って言っても腐れ縁みたいな感じだが……それで、どうする? 飲む?」


 唐橋さんは色々説明してくれて、私があまり飲まないと言えば度数の少ないカクテルを勧めてくれた。

 なので私はカシスオレンジを頼み、唐橋さんは日本酒を選んだ。


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