授かり盲愛婚。 〜ハイスペ紳士とラグジュアリ一な一夜を過ごしたら、愛の結晶を宿しました。〜
朝礼が終わり、受付へと向かうと一緒になったことのない人と一緒で少し緊張はしたけどなんとか昼休みまで持ち堪えることができて一安心した。
それから、昼休みは近くの売店でサラダを買ってみた。サラダならさっぱりしているし食べられるかもしれないと椿谷さんにも言われたからだ。
「サラダ、美味しいかも」
冷たいから湯気で気持ち悪くならないし、それによく噛むからかゼリーなんかよりも満腹度が違う。久しぶりにお腹いっぱいになったかも。
「……ごちそうさまでした」
昼ごはんを食べて、私は守衛室の休憩場所で休もうと守衛室に向かった。
昼休みが終わる前にお手洗いに行こうと守衛室より手前の御手洗へと入ろうとした時、女の子たちの話し声が聞こえてきた。
「――ねぇ、唐橋グループの社長が婚約だって!」
唐橋グループって……あの唐橋?婚約?
「えー……相手は誰なの?」
「ブライダル会社のご令嬢だって」
「そうなんだ。じゃあ、あの……滝脇さんの噂は違ったってことだよね?」
「そりゃそうよ。あの子じゃ釣り合わないし、身分も違うんだから。でも、結婚しちゃうのかー」
侑埜さん、結婚するの?
じゃあ、あの夜、言ってくれた好きは……ウソってこと?
私は、遊ばれたんだという考えがグルグルと回る。
そんな中、トイレに入る気分にはならずそのまま守衛室へ直行した。
私はさっき聞いた話で彼には言わないでおこうと決めて、LINEのトークページを開く。侑埜さんのページを開くと、私は【今日は用事ができてしまいました。なので行けません】とメッセージを送ってからスマホの電源を切った。