授かり盲愛婚。 〜ハイスペ紳士とラグジュアリ一な一夜を過ごしたら、愛の結晶を宿しました。〜
守衛の仕事にも慣れ、ミスもしなくなったのは就職して二年と半年経った頃だった。
それでも普通の人よりはできなくて毎日怒られる日々だ。
「――で、今日もネチネチとお局さんに言われたんだ?」
「うん、そうなの……世間知らずだったんだなぁって毎日思い知ってるよ」
今日は、学生時代からの親友の若村絃寧と月に一度ある食事会だ。
場所は、彼女の働くレストラン【桜翠】の個室だ。福利厚生でお安く食べられるらしく、いつも食事はこのレストラン。
「いつもながら、ここの料理は美味しいわよね」
「それはありがとう」
「この短角牛だっけ……濃厚で、柔らかくて」
確か、北海道の短角牛で熟成肉。ウチモモの部位で焼いては休ませ焼いては休ませてを繰り返し十分にベンチングの時間を置いて仕上げられており外はこんがり中はしっとりと赤みを帯びていて絶妙だ。
口に運び噛むほどに広がる熟成肉の奥深い味が口いっぱいに広がる。
本当に美味しい。