授かり盲愛婚。 〜ハイスペ紳士とラグジュアリ一な一夜を過ごしたら、愛の結晶を宿しました。〜
「――じゃあ、次の検診に会いましょう。気をつけて帰ってね」
「ありがとうございました」
診察室を出て会計受付で精算してからタクシーで真っ直ぐ帰ることにした。
タクシーで無事、タワマンまで到着して降りると「あなたが滝脇史菜さん?」と女性の声で名前を呼ばれる。
「……どなた様ですか?」
「私、唐橋侑埜の母親です」
お母さま……?
「単刀直入に言わせていただきます。侑埜と別れてちょうだい」
侑埜さんのお母さまは、私を睨みつけるように告げた。
「……え?」
「あなたみたいな一般庶民とは身分が違うのよ。侑埜に相応しくない……別れてくださったら、生活の保証はします。お金が欲しいなら、お渡ししましょう。一部ですがこれを」
封筒を出すと私に押し付けた。
「気持ちが固まったら、連絡をくださいな。早いとこお願いしますね」
それだけ言い残して彼女は去って行った。