授かり盲愛婚。 〜ハイスペ紳士とラグジュアリ一な一夜を過ごしたら、愛の結晶を宿しました。〜



「梅田さん」


 梅田さんとは唐橋家の執事さんだ。


「お待ちしておりました、滝脇さん。お荷物はそれだけですか?」


 私の荷物があまりにも少なくて驚いていたが、最近来たばかりだし買ってもらった服は全て置いてきたから。


「はい。そうです……あの、梅田さん。お願いなんですが、ベリが丘駅で下ろしてくださいませんか?」

「……はい?」

「あと、お金をお返しします。お金を受け取ったら、私は悪い人になってしまいそうで……だから、お返しします」

「困ります、それは……私が怒られてしまいます」

「私がわがまま言ったと言ってください。もう二度と会わないことを約束します。もう、私の人生には彼と交わることはありません」


 私がそこまで言ったからか「承知いたしました」と言い、私を車に乗せてくれて駅まで送ってくださった。
 

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