つまらない日々に花が咲いた

「おお、久しぶり。」
加納先輩は親し気に挨拶していた。

『ああ、こっちの知り合いかな？』
そんな風に思ったけどいい気はしなかった。

「元気してた？
あっ！彼女？こんにちわ。」
女の人は私の方を見て言った。

「え？いや・・・」
そう言いかけたところで
「そう。彼女。可愛いでしょ！」
と加納先輩が被せてきた。

『は？彼女じゃないし。何言ってんの？』
と思い
「違います。」
と強い口調で言った。

女の人は
「違うって。柊くんの片思いかあ。残念。
せいぜい嫌われないようにね。
じゃあ、またね。」
そう言いながら、去って行った。

「先輩、今のなんですか？彼女って！」
加納先輩に怒り口調で言った。
「あれ？やっぱダメだった？
今日はデート気分だったから、つい。」
と笑いながら言った。

『え？デート？』
この状況はデートなのかと私は初めてそこで気づいた。

「ちょっ・・・」
加納先輩になにか言おうとしたが、
「ちょっと待ってて。」
と言いながら行ってしまった。

丁度、建物の陰にいたからそこで待つことにした。

「ごめん、ごめん。」
加納先輩が手に何かをもって戻ってきた。「毎年さ、雑煮を無料配布してるんだわ。」
湯気がたっているお雑煮と箸を私にくれた。
「ありがとうございます。」
私は受け取った。