薔薇色狂想曲
「この薬、アセトアミノフェンとの併用は禁忌ではないけれど、どちらかの作用を減弱または増強させるのよ。

それは薬剤師なら知識あるわよね?

彼女、それを知らずに同僚からもらったノーシン錠を飲んだようなの。

服用した後、激しい頭痛を訴えて搬送された、ってわけ。

彼女、気圧変化で頭痛が起きやすいから。

今日の天気、ちょっと心配だったのよ」

「心配なことがあったら些細なことでもいいから連絡して、とは言ったんだけれどね。

そのうち、病院の掲示物の相談で会う予定だったから、その時に話せればと思ってたわ。

タイミングが悪すぎたわね。

薬剤師の貴方からも言ってくれる?

……人から薬を気軽に貰ってはいけません、って」


話が唐突すぎて、俺の脳では多すぎる情報を処理しきれなかった。

ただ、安易に人から薬を貰ってはいけないことは薬剤師としての常識だ。

今回は市販薬だったが、市販薬ではなく、病院で処方箋に基づいて処方された薬なら尚更。

薬機法という法律に触れ、最悪の場合は逮捕されるのだ。
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